加賀友禅の振興を目的として、友禅作家や職人、産元卸商社が参加する加賀染振興協会。その境界と石川県中小企業団体中央会が主催する『BCPセミナー』が開催され、私が講師を務めさせていただきました。
地球温暖化の影響もあって国内外で異常気象が常態化し、集中豪雨やゲリラ豪雨、猛暑酷暑、異常乾燥などによって、世界各地で甚大な被害が発生しています。それだけでなく、東日本大震災や能登半島地震などの大規模な自然災害、さらにはロシアによるウクライナ侵攻などの国際情勢の変動も、経済活動にとって大きなリスクとなっています。
こうしたリスクに備えるために、近年注目を集めているのが「BCP」です。「BCP」(business continuity planning)とは事業継続計画のことで、災害などの緊急事態が発生したときに、企業や産地がその損害を最小限に抑え、事業の継続や復旧を図るためにあらかじめ策定しておく計画のことをいいます。
国(中小企業庁)でも「中小企業BCP策定運用指針」をさだめ、大企業だけでなく、日本経済の根幹を支える中小企業についても、こうした「BCP」を策定することを勧めています。とりわけ分業化が進んでいる輪島塗や加賀友禅などの「産地」では、一つの企業がストップすると産地全体に大きな影響が及ぶため、そうした産地では業界団体などが主導してサプライチェーンを維持するために、全体として「BCP」の策定を進めていくことが求められているのです。
石川県の伝統工芸として有名な加賀友禅の産地の組合である「加賀染振興協会」でも、石川県中小企業団体中央会と共同で、組合の理事を対象にした講習会を開催することになり、私が講師を担当させていただきました。ちょうど3か月前に、輪島塗の産地である奥能登地区が地震で大きな被害を受けたばかりだったこともあって、参加した理事の皆さんは真剣な表情で話を聞いておられました。